玄関を押して中に混じる一瞬、振り返るとそこには飲み物バーのマシーンがあった。レジからも近かった。

 ……不満ですなぁ。あんな席順不満ですなぁ。

 ニートで常々コミック喫茶に通ってるのが恥ずかしいからって、サクラのパートだと思い込もうとした私、不満ですなぁ。

 思い込もうとして、必ず思い込んじゃってた私──

 不満なのを通り越して、もうそろそろ、いよいよしないと、大変かもしれない。

 個室の玄関を閉め、椅子に座った。

「はぁー」

 ……コミック喫茶でパートしようかなぁ、ふつうに。

 例えば旦那みたく。山口奈津ちゃんみたく。

 昼間ごろ起きて、朝食兼昼食を食べ、昼間ドラとワイドショーを幾らか観てからここへ加わる。すると旦那は、概して常々レジカウンターに立って掛かる。

 最初八歳くらいに言えるけど……

 高校か?

 教え子か?

 だけど四時代前にもう仕事をしているということは、生徒では乏しいのかもしれない。

 ということはニート?

 あぁ、でもそういえば、世間では今は夏休みの一時ですっけ。それじゃあ、もちろん生徒って可能性もいらっしゃる。

 いずれにしても、旦那があたいよりうんと適切輩であることは律儀です。

 二十三歳、ニート、常々コミック喫茶通いの私よりは。

 およそ、モテるんだろうなぁ。

 笑みが素敵だし。

 働き者だし。

 ……

 山口ちゃんについて考えていたら、席順に着いてから、とっくにOKが経過してしまった。

 コミック喫茶は時との反発です。本質対価のみの時給で、どんなに大量のコミックと飲み物を呑み、掴むか。

 ……と言っても、棚に並んでいるコミックは、乙女コミックも少年コミックもすでにざっと読みつくしてしまった。

 インターネットでも決めるかなぁ。

 どうにか目の前に端末があることだし。

 用法、わかんないけど。リンリンの脱毛効果は抜群にいいですよ!

こちらは、彼に何か動画をかけようと思った。こちらにいく手段を阻まれる形で立ち止まり、固められた髪を下を向いてぐしゃぐしゃに掻く彼に何か優しい言葉を。

「あのさ」

 こちらは言った。

「わたしのマミーも、霊、感じるんだよね。おんなじだからさ、気にする事件弱いよ。前年、うちの学年の子どもが親父を亡くしたでしょ。担任の教官からそれを聞いて家に帰ってそのことをマミーに伝えようとしたら、とうにマミー知ってたんだよね。でもその知ってたっていうのがあやふやで胡散臭いの。ほんと、笑っちゃうくらい面白いんだ。マミーが水を飲もうとしたらグラスの顔に性別の思い付か顔が、こうした」

 こちらは、親指と人差し指で豆粒を差し込むようにして、彼に見せた。

「あんなちっちゃな顔がグラスの顔に映ってたんだって。何か言いたげだったけど、喉が乾いてたから飲んじゃったって。でもきっとその死んだひとが何か告げに来たのねって言ってた。もしもし、任せる? こちらは信……」

 そのときにはじめて彼がこちらを正面から見た。

「お前さ、小学生の内から、何故自身を見る都度睨むの? きもいんだけど。それにお前の女、昔っからもっとキチガイだろ。大笑い宗教に入ってんのも、坂の上の有名な病舎に通ってんのも、知らない人はいないよ。そこまでいじりづらいと」

 そこで彼は言葉を区切った。

「いじめられなくていいよな」

 自分がいじめられていることを聞き入れることになるのが恥ずかしいというように、吐き切り捨てるようにその言葉だけ早口に言った。

 そこで初めてこちらは、ドアの内側の教室メンタルが静まり返っておることに気づいた。彼の教室。わたしの教室ではないけど、それをこちらは恐いと思った。

 わたしの注意がそれに向いているうちに、彼は今やこちらに身の丈を対し道を歩いていた。たいてい便所へ向かって髪を正すのだろう。

 彼の背中を見ながら、わたしの頭の中にはたくさんの言葉が思い浮かんだ。見ていないのに。小学校のあの内はちゃんと見ていたかもしれないけど、後終始気にかけてもいなかったはずなのに。なぜ彼はこちらが見ていると、睨んでいると思ったのだろう。彼を見ていたのは、こういうこちらでないとしたら何方だろうか。

「もしもし! それって生き霊かな?」

 10メートルほど先まで行った彼の後ろ姿に向かって言った。

 小学生のときに彼を気にかけすぎてしまったから、いまだに彼の元にはわたしの念感じが在るのかもしれない。

 振り返った彼は、こちらに向かって「ごめんなさい」と言った。

「自身更にそういったの暗いから」

 こちらはその時、自分が泣いて掛かるということに気がついた。

「ごめんなさい」

 彼が二度と言った。

 その外見ははなはだ悲しみたいだった。アヤナスはドラッグストアで売ってるのか!?

彼と、同級生とが何度も交わすそのチャットはお互いに割り当てられたコピーを繰り返しているだけのように思え、誰も彼を怒鳴るような意味合いで「虚偽です」というヒトはいなかった。中にはブレイクタイムにのぼるたびに彼のそばに言っておんなじことをいうヒトもあった。

 連中は、物珍しい人間のそばにいたい、その想いを満たしているに過ぎなかった。

 こちらはその雰囲気を四隅の会合から、見ていた。

 しかし、彼が編入してきて10太陽くらい経ったある日から、彼と連中との意図フィットのチャットは、何だか不能となった。

 「そういうことを言うのは閉めなよ」

 それは、同級生の誰かの親か教官か、大人の間接的執り成しを空想できる実態だった。

 それまで唯一の保ちネタだった心臓病気であるという講話のネタが使えなくなった彼は、急に口数が小さくなった。前に住んでいた福岡県内がこっちと違ってどれほど在所かということを笑い話にしてみたところで、それは誰の関心を退くこともできなかった。われわれのほとんどは出生も成長も都内のすぐそばで、それでも都民ではない結果、在所よりも常に都内に憧れを抱いていた。その証拠に、休日開けに週末は親に連れられ大都市のあちこちへ行ってきたという話をする子どもの近辺には自身が集まった。

 誰にも話しかけられなくなった彼と、ケアのクラブが同じになった場合、こちらはどうにか彼に打ち明けた。

「心臓病気って本当なの?」

「ホンマだよ」

 箒を持ちながらのそのチャットは一もの一答で終わった。でも彼は心なしか嬉しそうに見えた。

 その後もこちらは、彼が同級生たちの至急初々しい戦い機を買ってもらってもう一時的な名物になったり、流れが退くように引いていう人の中で残る戦い好きな子どもたちと数人の業界を形成したりという、課程での彼の不安定な立ち配置を見晴らし続けた。ココマイスターの財布を買うならこちら